新潟県の公立高校入試の傾向と対策

校舎を眺む

新潟県の公立高校の入試はどんな傾向を持っているのでしよう。中学3年間の学習内容から万遍なく出題されている事が分かります。 また、2日目の高校独自の検査が2015年春から新たに新設されました。高校それぞれが各検査を選んで実施しています。学力検査と独自検査、そして内申点の合計から合否判定が行われます。

新潟県新潟市で23年、子供達の学力を育ててきた家庭教師のアズ新潟が、新潟県公立高校受験入試問題の出題傾向と対策についてまとめました。各教科ごとに記述で内容を説明させる応用問題や図や表に書き表す問題が必ず出題され、いずれも高配点となっています。

他の受験生と差をつけるためには出題される基本問題での取りこぼしを必ず防ぎ、これら高配点の問題で部分店を含めて得点を上積みさせていく必要があります。以上の事柄をしっかりと踏まえた上で、受験本番に向けた勉強に役立てていただけたらと思います。

新潟県の公立高校の入試[学力検査](1日目)

『国語』

漢字・文法 漢字の読み取り  漢字の書き取り  適語補充  敬語・正しい表現
文学的文章 語句の意味  歴史的かなづかい  文学史  表現の特色  適語補充  傍線部解釈(選択式)  傍線部解釈(記述式)  和歌俳句の鑑賞
説明的文章 語句の意味  適語補充  傍線部解釈(選択式)  傍線部解釈(記述式)  文脈把握  意見作文

『数学』

式・計算 計算  方程式  不等式  文字式  証明
関数 座標  比例・反比例  一次関数  Y=ax2
図形 作図  空間図形  平行線と多角形  図形の証明  平行線と線分比  円の性質  三平方の定理  図形の計量
資料の活用 確率の基本問  資料の活用・標本調査問題  いろいろな確率の問題

『英語』

語彙・文法 単語を適切な形に変える
リスニング 文・語句の選択  英語で穴埋めする  絵や図を選択する  絵や図を読み取る
長文読解 英語の質問に英語で答える  内容・気持ち・理由を答える  本文の内容に合う文を選ぶ  長文中の単語の並べ替え  長文中の空欄に入る文を選ぶ  長文中に単語を選択・補充する  文を入れる位置を変える  下線部の内容を答える  日本語の質問に日本語で答える
英作文 与えられたテーマについて書く  日本文を英語にする

『理科』

物 理 力のはたらき  光と音  電気回路と電力・熱量  物体の運動  仕事・仕事率
化 学 水溶液・気体  物質の分解と化合  電池とイオン・中和  化学変化と物質の質量
生 物 植物の生活と種類  動物の種類とからだ  生物のつながり  消化・吸収  遺伝・細胞分裂
地 学 地層・岩石  飽和水状液と雲・天気の変化  太陽の日周運動・季節の変化  太陽系  星の世界・星の見え方

『社会』

地 理 世界のすがた  時差  日本のすがた  地形図の読み取り  自然環境  人口  産業  貿易・地域の結びつき
歴 史 古代・中世  近世・近代  現代  日本の政治・経済  日本の社会・文化  日本の外交  世界の政治・経済  世界の社会・文化  年代順への理解
公 民 日本国憲法・基本的人権・社会保障  日本国憲法と三権分立  地方自治  家計と消費生活・企業  金融・財政  世界経済  国際収支と日本経済の問題  国際社会と平和

新潟県の公立高校の入試[独自検査](2日目)

筆答検査A 英語の文章や数理的な課題から「論理的思考力をみる。」考察しながら読み取る力と自分の意見や考えをまとめる力を使い、論理的に思考したり解決する力をみる。
筆答検査B 国語の文章を読み解き、正確に理解する力を使い「与えられた課題に対する思考力・判断力・表現する力」をみる。
課題作文 与えられたテーマに関して「意見を述べたり」、データを基に考察し「その結果を文章で説明する力」をみる。
PRシート 高校生活への意欲や中学時代に取り組んで来た事などから自分をアピールする。いくつかの質問に文章で考えを述べたり答える。
実技検査 音楽科での楽器演奏、体育科での基礎体力テストなど、学科の学習に関する実技の検査。
その他 プレゼンテーション(課題に対し、自分の考えを分かりやすく説明する。)や、個人面接や集団面接、日本語の聞き取り検査などや、面接カードの提出。

新潟県の高校入試の傾向

学力検査

中学3年間の基礎学力をベースにすべての教科に文章問題や記述の問題が配点を多くして取り入れられています。簡単に基礎的な勉強をするだけでは得点を稼ぐ事が出来ない傾向があります。各教科の基本を理解した上で文章題・応用問題・記述式の問題での解答力で合否の差が付く難易度の高い総合力を問う試験だと思って下さい。

新潟県の詳しい入試問題の分析はこちら

独自検査

進学校上位校は筆答検査A、その他の進学校は筆答検査Bです。職業系の学科は面接やPRシートを、また、PRシートと筆答検査を組み合わせたり、作文と筆答検査を組み合わせる高校もあります。 この検査の趣旨は、物事を自分の力で論理的に考える力や、問題を論理的に考え独自の力で解答を導き出す力を見たり、それぞれ子供達の独自の考えや能力をみる検査です。

従来の5教科の入試では、塾などで問題を数多くこなし、解法を入れる事で対応が出来るため、暗記力のある子供に有利でした。 ところが高校へ入って、そうした勉強で対応出来ない生徒が多く出てくるのです。これからの社会の求める人材は、独自の考えや意見を持ち行動を自らの判断で見つけることの出来る人材です。

そのため知識の量を見る検査ではなく、『知識を使う本来の学力』『知識の活用に必要な力』を見るための検査や、また、自分の意見を持つ事が出来るように育っているかや、その意見を分かりやすく表せる力をみる試験です。 『学力試験で影響の高い知識力』と比べ『独自検査は独自の判断力や行動力や表現力など高校や社会で必要な力』と考えるとイメージ出来ると思います。

新潟県の高校入試の対策

学力検査

中学3年間の総合的な力を見る試験ですから、各学年の基礎の整理の時間(基礎の理解)、各学年の基礎の確認の時間(基礎の定着)、総合的な学習(3年間の基礎を使う学力の獲得)、応用力(基礎的な理解から難度の高い問題の解答力)と順次、1つ1つの力を獲得して行く必要があります。

入試の問題はほとんど文章問題、記述問題、応用問題と考えて下さい。ですが、基礎問題での得点ミスは当然避けなくてはなりませんので、第一のステップで基礎の整理と確認をしつつ、原理や原則(基本)を学び、理解を深めます。基礎的な問題で確実性を身に付ける意識で勉強します。ここでの基礎確認こそが、次のステップで問題練習の量を変え、得点力の差を作りますので、じっくり学習するためにも早めに入試対策に入って下さい。

一度基本の整理が終わったら過去問題(過去5年のもの)を1年分ゆっくり解いて、傾向を掴んでみます。(下記の途中何度か過去問で傾向を掴むと理解しておくポイントを意識して学習出来るので、何度か過去問を間に取り入れます。) 出題傾向を理解しつつ、基礎の定着を確実にするため、1度整理し確認し終えた内容を振り返り、穴を見つけ埋めて行きます。 発展的な内容を含む総合問題に進みます。

単元の総合問題から学年の総合問題などで、基礎の抜けと苦手な問題の洗い出しをし、苦手な問題は類題をじっくり時間をかけて解き、納得させる事を試みます。 納得出来る内容が増えていれば応用問題を多くこなせる力が実感が出来て来ます。最初はゆっくり時間をかけて応用問題の解法を納得して行きます。(ここまでは新潟県の中学校で購入する新研究や整理と対策が学習の中心です。)

受験2ヶ月前くらいには徐々にスピードを高め基礎から応用までの総合問題の量をこなします。理想は、新研究や整理対策のような3年間の内容を一気に振り返る事の出来るものを新研究や整理と対策とは別に見つけ、その中の応用を含む総合問題に取り組みます。 これは、学習の中心にした新研究などの理解の確認を目的に似た内容で更に穴を見つけるためです。

また、応用までたくさんこなす事で、1度は解いた経験のある問題のように感じながら過去問のトレーニングが出来るようになるためです。(難易度の高い高校ほど、この取り組みを増やします。) 最終段階の入試の過去問題(過去10年分)を制限時間内で見直しの時間を計算し取り組み、目的とする解答力を得るトレーニングを行います。

《ここに注意!》新潟県の公立中学で購入する「新研究」や「整理と対策」はとてもよくまとめられた受験用テキストです。ポイントは学校の宿題となる事が多い新研究ノートの提出のための穴埋めトレーニングを受験勉強の有効な対策と思わない事です。その作業だけを受験対策としている場合、ほとんど学力の向上を感じれない場合があります。新研究や整理と対策は穴埋めトレーニングを目的とするものではなく、基礎基本の洗い出しと、基礎基本の理解を目的とするように考え、使い方や勉強方法を考えて取り組むととても有効な受験の武器となります。この1冊丸々どう頭にしまい込むか。ぜひ、考えてみて下さい。

独自検査

独自検査は受験する高校によって変わりますので対策も変わります。 まず、筆答問題Aは英語は英語の文章を読み英語で考え日本語で答える力と英語での説明力が問われます。英文読解の訓練に内容の理解を意識して下さい。また、英作力も問われますので、英語で意見を述べるような問題を意識してトレーニングしておく必要があります。

数学は新研究や整理と対策にないような難問です。1週間に1度は「これは難しい。」と思う問題をじっくり自分の考えで解く訓練が必要です。難関私立高校の受験問題には「これは難しい。」と言う問題が数多くありますから、同じ様に取り組む事も1案です。 筆答問題Bは国語で日本語の検査です。正しく読み取り考え、問いに対し自分の考えを正しい日本語で50~100文字で表現する力が必要です。意見を持ちながら読む訓練、意見を分かりやすく表す日本語の力を獲得して下さい。

これも、難関高校の過去問から論説文や説明文などの問題を選び訓練する事は有効な対策です。 課題作文は与えられたテーマに関して「意見を述べたり」、データを基に考察し「その結果を文章で説明する力」をみる検査のため、苦手な生徒は、まず自分の意見を作る、自分の意見を持つ事を意識して、そこから経験する必要があります。その上で、新聞記事などを読み、自分の意見を持ち、その意見を分かりやすく表現したり、分析を説明する訓練を持つ必要があります。

PRシートは高校生活への意欲や中学時代に取り組んで来た事などから自分をアピール出来るよう、自分の中学生活を思い出し、自分の経験や取り組みから学べた事などを探してみて下さい。そして自分のいい所や悪い所を考え、その高校で高校生になった時には、どう自分の長所を活かし、また、短所をどんなふうに克服して行きたいかを考えてみて分かりやすく書く訓練をして下さい。自分の意見や考えを作るように意識を持って下さい。

プレゼンテーションの検査もまずは自分の意見を作ること持つことがスタートです、意識して考えを持ったり意見を持つ意識で日常や国語に取り組んで下さい。その上でその意見や考えを分かりやすく説明する訓練を持って下さい。

最後に

新潟県の高校入試は2日目が実施され負担が増えました。2日めの独自検査の理由は新潟県の高校入試の傾向でその理由を話した通りですが、この2日目の検査の理由を考えると『目指すべき本来の学力観』を感じて頂けるような気がします。

学力とは、決して5教科の知識だけではありません。新潟県の高校入試の問題に応用問題や文章題が多いのは、中学3年生に義務教育の卒業の集大成として、得た知識を考えながら利用する事が出来る活用する力で、また、それを正確に行う事で得る事が出来る問題解決力を得て来て欲しいと高校側が考えるからです。 同時に、そうした高校や大学、そして社会へ出てから活かす事のできる総合的な学力を養って欲しいと考えるからです。

学力は、高校へ入るためだけに必要な力ではありません。学力には、お話ししたような知識と問題解決力の他に、想像力、想定力、スケージュール力、自己管理力と言う子供達が、その自分の未来で、自らの力で幸せを掴むための大切な力が含まれます。 初めて経験する大人へ向かう第一歩の高校入試。貴重な経験が積め、また、生まれてから1度も経験した事のない膨大な情報を整理し力に変えようとする時に、お話ししたような、子供達の人生で一生の財産になる学力の獲得を目指して欲しいと思います。

難しい話をしてしまい、こんな話になって恐縮で申し訳なく思います。ただ、折角子供達が過去になく勉強に向き合える1年間です。大人への第一歩を経験している時、点数のためだけに学習方法を選ばないで欲しいと思います。これは、家庭教師の仕事を通じ高校生で伸び悩む生徒を何人も見て来た経験からです。 どう言う学習対策をお考えになるにしても、『自分の勉強方法の確立』を念頭にして、その上で有効になるような学習対策をお考え下さればと思います。