家庭教師や塾などに関連する法律

教室の様子・黒板と机

私は現在『家庭教師優良業者全国ネットワーク』と『家庭教師派遣業共同組合』に加盟しています。前者は有志の任意の団体です。 後者は関東経済産業局から認可を受けた 組織です。それぞれ、年に何回か勉強会や会議があり、 時々の業界の問題などに関して話し合いを行いながら業界の健全な発展のため各地で個々の活動に反映させています。 その活動の中で団体加盟の協会が法令成立までにレクチャーを経産省から受けたり実情を逆に関係省庁へ上げて来ながら、 家庭教師や塾に関係する法令が整えられて来まし たが、ここでは法律『特定商取引法』成立の経緯から、特にトラブルに発展した内容から、 法令の中身や、現在の業界の問題を分かりやすくお話したいと思います。

家庭教師や塾業界に関する法律と、法律成立の経緯

【特定商取引法】(経済産業省 関東経済産業局)

長期・継続的な役務(「えきむ」と読み、いわゆるサービスを意味します)の提供と、 これに対する高額の対価を約する取引のこと。現在、エステティック、 語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の6つの役務が対象とされています。(特定継続的役務提供業者) ※私はこの特定商取引法は勉強して来ましたが、弁護士ではありませんので、 法律の解釈に関してはあくまでも私個人の解釈とお考え下さい。その上で、 救済が必要な方がいらっしゃれば、この経済産業省のホームページから法律をお読みになり、 お近くの消費者センターへ法律知識を備えてご相談下さい。 また、弁護士さんは勿論、司法書士さんなどでも相談し対応して下さると思います。

《物品販売のトラブル》

役務提供事業者の販売する商品(教材など)が、 役務を解約してもクレジットで消費代金の支払いを続けねばならない契約形態があるなどの問題が生まれ、 消費者センターへの相談事例が増加した。 家庭教師業界の場合には、家庭教師の指導に使うと説明し高額な教材の販売によるトラブルが多く生じ、 全国の消費者センターで相談が増えました。

法令開始前 役務(サービス)の契約締結時にサービス効果を高めるためと販売した商品があり、役務の効果が感じられず役務を解約しても、 商品は購入された物とされ、著しい高額な商品を購入させられていた場合に、商品の解約が出来ず、著しく消費者に不利益な契約形態だった。
法令施行後 役務(サービス)の効果を高めるための物として役務契約締結時に購入契約を結んだ商品を『関連商品』として、 役務契約解約時に同時解約が可能になり、解約時の商品の使用した分の代金を精算する事で消費者の不利益を解消することが出来るようになった。
現在の問題点 法令施行後は、役務と同時に商品の解約が可能になったが、一部業者は、販売する商品を『推奨商品』として、 消費者の法律知識が少ない事に乗じて、実態は『関連商品』であるのにも係わらず、不法な法逃れをする業者が現れた。 現在は、その行為が後にも話す『不実告知』として行政処分の対象となる業者が多発したため、 現在は『関連商品』として高額な商品を販売している。 現実に起きている問題としては、契約時に消費者は『解約損料』を一方的に法律知識のないまま定められる事で、商品が届いてから、 箱を開けて、商品自体は全く使用していない状態で解約したのにも係わらず、損料請求が行われていたり、3年分の教材を一括で購入し、 1年次の教材しか使用していないにも係わらず、解約時に1割にも満たない金額しか返金されない契約になっているなど、 消費者側の法知識が少ない事に乗じて一方的に業者有利の契約がなされている事で、 消費者は知らぬまま不当な料金を払う事となる事例が多い。
法律の解釈 家庭教師の教材トラブルの場合、法令に照らし合わせれば、解約は契約時に定めた解約損料に基づいて行う事が原則とされているものの、 商品を返還する際の損料(使用料)の基準は『通常の使用料に相当する額』と定められている。そのため、箱を開けただけの未使用の教材は、 当然「未使用」であることから、法律に照らし合わせる事で、未使用分に関する支払いの義務はない事となる。 業者側は契約時に定めた損料を持ち出すが、それは、3年間分の教材が1年の使用で解約時に損料がほぼ満額とされているような場合、損料 に合うペースで消化した場合の損料であり、仮に3年間分を1年間で全て使用したならば、業者の損料計算には従い満額の支払いが必要とな るが使用していない教材がある場合には、教材を返還する事で、その教材部分には損料(使用料)が発生することにはならない。 また、仮に3年分の教材を1年間で使用するような損料の取り決めがなされていれば、業者側は1年間で教材を使い切る説明責任があり、 仮に、3年間かけて勉強するなど、教材の損料が満額近くになる期間と食い違う説明をする事は「不実の告知」とも言える。

《役務解約の損料のトラブル》

6つの継続的役務提供儀業者がサービス(役務)を締結するにあたって、 著しく高額な解約金を定め契約し、何らかの事情や、役務に関し有効性を感じず解約を申し出た際に 問題が生じてトラブルとなり消費者センターでの相談事例が増えた。 家庭教師業界の場合には大手を含む様々な業者が一方的な解約金を定め、 場合によっては、数十万円の解約金を請求される事例が報告された。

法律施行後 法律により、サービス(役務)開始後の契約解除の違約金の上限は 『5万円または1ヶ月の役務の額いずれかの低い方の額』と定められた事で、法令を 守らなくては行政処分など重い罰則があるため、現在も続く物品(教材)販売のようなトラブルはなくなりましたので、 この問題は法律で解消されました。

《虚偽誇大広告・困惑行為・不実告知のトラブル》

傾向としては家庭教師に非常に多い問題で、過去から法律施行後の現在も、証拠が残りにくい事からこの問題はなくなっていません。 これは、今もって大きな問題です。法令そのものは厳格な内容です。 法令では業者の「虚偽」や「誇大広告」「不実の行為」そのものを禁止しています。ですから、こうした法令に反する行為(勧誘や契約締結時の 行為)があれば、契約そのものの無効が主張できるものです。 また、契約を解除するにあたっても契約の解除を妨げるために不実の事を告げてはならない。と定められています。 しかし、その行為は言葉による所がほとんどのため、この法令違反をする家庭教師の業者はなくなりません。

家庭教師の事例
「勧誘時」 家庭教師の事例で多く見受けられるのが勧誘時の虚偽・不実告知です。 どこから名簿を集めるのか分かりませんが(個人情報保護法にも問題がありそうですね。) よく、皆さんのご家庭に「家庭教師の〇〇と申します。」と勧誘 の電話があると思います。こうした電話勧誘の家庭教師を名乗る業者は、高額な教材を販売する業者である事が一般です。 ですが、この電話案内時には、家庭教師の紹介と勧誘に終始しほとんど教材の存在を知らせません。 (これは、実際お会いしたご家庭で、教材付き家庭教師の話を聞かれた方が皆さんそうお話しされます。 こうした主たる目的(教材代金の方が家庭教師の受講費用よりも大きいため主たる目的は教材販売) を告げない勧誘そのものが、虚偽・不実告知となります。
「契約時」 「この教材を使えば必ず成績が上がります。」と説明したり、「こうした教材がなければ家庭教師は教えられない。」など、 不確実な事を断定し説明したり家庭教師が必ずそれを使わなければ有効に教えられない。また、教科書では教えられない。 など、世間一般から見て事実とは違う説明や、どの子供たちにも同一の教材を販売していながら「〇〇さんの学力には最適」など、 事実と食い違う説明は禁じています。 また、契約時に教材の解約損料を一方的に定め、 解約時、未使用の教材の場合にも解約損料が一方的な額となるような契約そのものも、不実告知と言えます。
「解約時」 契約時に教材の解約損料を一方的に定め、解約時、未使用の教材にも係わらず「所有していた」と主張し、 一方的な解約損料の清算を求める行為も、法律の事実を告げない行為で「困惑」「不実の告知」に該当します。 また、教材の販売があった場合に「教材は買って頂いたもので契約の解除は出来ない。」などの話は 「困惑」行為「不実の告知」で法令違反です。

以上、家庭教師の業者が主に行っている事の多い法例違反に関して説明して来ました。たくさんのご父兄からお問い合わせの時や、 お伺いさせていただいた際、また、家庭教師と教材の抱き合わせ販売で契約を止めたいご相談を「家庭教師派遣業協同組合」で頂いて来た事例です。

私は、あまりにも「お金」のために醜い行為をするように思えてなりません。皆さんはどう思われますか? 成人した大人が、後輩である子供たちに行う行為として、自らを振り返りどう思うのでしょうか? 私はそんな業界をほぼ四半世紀見て参りました。あと何年この業界で仕事をしているか分かりませんが、 こうした会社を無くしたいなぁ。と思います。勿論子供たちのためになのですが、 残念な事は、こうした会社は、嘘偽りを当然に行える所がありますから、お金儲けはかないません。

ですから、必然として、こうした会社は、広告費も当然かける事が出来ます。 例えば、私が手作りで必死に行うような、検索エンジンに評価を頂くための作業なども、 お金の力と人海戦術で、全然私には太刀打ちできません。 また、電話案内による実は教材販売の意図を告げていない無策な勧誘で、 私がお会いする年間の子供たちの数十倍の子供たちや親御さんに会っています。 当然、被害に会われる方は無くならないのが現状です。 そこで、この記事を読まれた皆さんへのお願いです。

子供たちのため、世の中のため、この業界の健全な発展のためのお願いです。 今、この記事をお読み下さる皆さんは、恐らくお子様をお持ちのご両親と思います。 こうした、心ない家庭教師の会社が存在していることを、ぜひ、お友達などにお話しして下さい。 こうした、心ない家庭教師の会社が「教育」の仕事をしている事実を皆さんは、子供の親として、 決して許される気持ちのない方々であると思います。子供たちのために、この記事が世の中の役に立つ事を願っています。

追記

私は、新潟市西区の新潟大学の近くの小さな事務所で家庭教師の協会を運営しています。 同時に「家庭教師派遣業協同組合」の理事長に今年(平成28年)任命されました。この11月11日には、 経済産業省へ家庭教師業界の問題の解消の相談を依頼されて行って来ます。手弁当です。このお話するのは考えたのですが、 家庭教師の協会運営は厳しいです。私は、家庭教師協会の存続のために副業もしているんですね。 そして、1人で協会運営をしていますから、それはもう、忙しい。1日1日スケジュール管理をして、ご家庭から要望があれば、 学習相談へお伺いです。倒れたら終わりです。

その仕事の合間に、こうして家庭教師に関連する記事を書いています。 よく生きているな。とも思うのですが、必死に生きている実感はあります。 自分の今をこうしてお話するのは、勿論、私の事を知って頂いて、家庭教師に限らず勉強の相談なら何でもして頂きたいと言う事もあるのですが、 家庭教師の業界の方が、もし、この記事を読んで私の話に共感して頂けたら、私はこんな人間なので安心して声をかけて頂いて、 「家庭教師派遣業協同組合」か「家庭教師優良業者全国ネットワーク」への参加を考えて下さればと思うからです。 こんな小さな経営のおじさんでも、新潟市や新潟県に限らず、全国に必要な仕事が出来ます。ぜひ、考えて欲しいのです。

「家庭教師派遣業協同組合」は関東経済産業局の認可する団体です。まだまだ組織そのものは未熟で小さいので、 組合費からお金を出させるのも気が引けて、先ほどお話したように 手弁当で活動してますが、私は手弁当でも構わないですが、組合委員が増えたら、 組合員になられた皆さんが世の中に必要とされる仕事を組合費で出来る時が来ると思います。 現組合員の皆さんには申し訳ないですが、実情をお話しました。 ぜひ、私たち(私は50代)の後、この家庭教師業界のために人肌脱ごうと言う方がいらっしゃれば、 家庭教師のアズ新潟の渡辺まで、一度ご連絡下さい。