いろいろな塾の学習形態や通信添削

校舎内から外を見る小学生の背中

家庭教師の協会にはいろいろな形態があり、その業務や契約の形態によっては、 学習が教科書を離れ独自の教材をやる事になったりと違いがある事を 『それぞれの家庭教師協会による特徴や違い』でお話しました。 家庭教師による学習は、その名の通り「家庭での学習」ですが、その対局が「外での学習」の塾業界です。 ここでは、家庭教師と対局にある学習塾の種類についてをお話したいと思います。

学習塾は家庭教師より最もポピュラーな学習方法で、通われる子供達も非常に多いと思います。 ですが、通わせるにあたって、子供達に「何を学ばせるか。」の意識で選択されず「勉強させるため」 や「学力(点数)が落ちて来たから」などの理由から通われる事が多いのではないでしようか。 また、家庭教師の良さであるマンツーマンに惹かれ最近は個別指導塾に通われる子供達も多く見られますが、 特徴を知らないまま通われているようにも感じます。

20年以上に渡り長く新潟県や北陸で家庭教師をして来た経験から、通われていた塾によって、 得ている力が、子供にとって活かされる力となっている場合と、あまり意味を持たないどころか、 無駄な時間を過ごさせてしまっていた印象を受ける事があります。 知識を吸収する年代の子供達へ、どのような学習が行われ、知識が吸収されるかを考える事は非常に重要です。 学力を育てる事は「子育ての一環」なのです。塾をお考えになる際は、ぜひ、子供さんに 合った塾を選択して下さればと思います。 (家庭教師の仕事をしていて塾を考えるため、多少否定的な所がありますが、参考意見としてお許し下さい。)

『集団指導復習型』の塾

4人~10人程度の生徒を1人の教師が黒板を使って指導します。 学校で進められた内容の復習を意図とする塾です。 昔からある塾のタイプです。個人経営の塾の多くがこの形態です。 学校の勉強で不明な点を無くすと言う目的からは有効な学習方法と言えると思います。 大手の塾でも学校の内容の復習のスタイルを取る所は方向性は良いと思います。 1つだけ塾に対して問題に思うのは、ほとんどの塾が、塾専用のテキストでの学習スタイルとなっている所です。 ここに多くの塾の学習の問題が潜みます。 「学校の内容を復習したい。」と思って通うのです。 こうした塾のテキストを使う事になり、自分の学習方法を確立して行けません。ここに問題が潜みます。

また、問題演習の時間が多く、基礎的な理解を深める勉強を自分で持たないまま通えば講師の解説を理解出来ず、 通っているだけになる子供達も見受けられます。 学力の高い子供たちも、その子供1人1人の学習への向き合い方は様々で、 塾で問題演習だけで学力を育てているような場合には、受験勉強の段階で、自分の やり方を持てず「自立出来るような学力」が育っていない印象があります。 (学力に関しては「疑問や相談」で詳しく話してます。ご関心があればお読み下さい。)

私が会って来た子供達の傾向からは、指導経験の豊富なベテランの個人経営の塾の先生だけが、 この問題に気づいて対応を取れれているケースがあるように感じ ます。ところが、大手の様にたくさん広告費用をかけられずに、 結果として閉鎖してしまう場合が最近多くなっています。非常に残念な傾向です。 もし、私が家庭教師の仕事をせず、また、こうした知識があれば、 近所にまだそうした個人塾があるなら学習内容を確認して選択を考えると思います。

『集団指導予習型』の塾

同じ様に4~10人程度の生徒を教えて行きますが、教える内容は学校の勉強の「予習」をメインとする塾です。 子供達が1番長い時間を過ごす学校の勉強のための補習や復習をするのではなく、学校の勉強の先を進めます。 学校の勉強の先を習う事によって、学校の勉強が 分かった気持ちにさせる事で意欲を引き出すねらいがあるのです。家庭教師も夏休みなどに予習し、 そうした気持ちを作る事に取り組む場合はありますが、こうした塾の場合は、ほとんどが予習です。

私には、1番長い時間を過ごす学校の勉強のために、必要な対策をする所に「自学」の意味があると考えていますので、 その意味が理解出来ないのですが、 子供にとって学校の勉強がどんな意味を持つ事になるのか、それを考える時に、怖いな。と思います。 小学校高学年から中学校の内容の塾でこうした予習型を行うのですが、 高校へ進んで、このスタイルでどういう勉強の仕方を持つのだろう。と心配になります。

「復習型」の塾と同様に、教材は塾専用のテキストを使うため、やはり、 教科書を中心に据えた「自分の学習スタイル」を身に付ける事は、その問題に気づいた ご父兄か子供さんにしか考えられる事がないため、やはり受験勉強になると、塾へ通う回数を非常に多くして乗り切るしかない傾向があります。 大手の塾は、子供の学力より経営が先になっている所に気づいて頂くと、塾へ通う回数を増やさせるための戦略が読み取れ、残念に思います。

『個別指導型』の塾

「個別指導」と言う文言が、その子供1人1人の理解に合わせて指導がなされる印象を与えるのでしょうか。 現在、新潟県や北陸はもちろん全国的にも非常に 増えています。それだけ「個別に教えて欲しい。」とのニーズがあるのですね。 形態は2~3人を講師1人で見る場合は料金は低め、1対1は家庭教師派遣の協会の高い所と安い所の中間くらいです。 2~3人の指導の場合には、90分の授業で、人数分で割った時間が勉強を教わる時間、 それ以外は問題を解く時間です。学力的に力のある子供であれば、問題を 考え解く事が出来るので無駄な時間はないのですが、 その逆の場合に、問題を解いている時間、教師が来るのを待っているだけになる傾向があります。

また、1対1の場合にも、教えるのは集団塾同様の塾専用テキストです。 学校の勉強は教科書なので、子供達は2つの教材の学習に取り組む事になります。 また、知識をマンツーマンで習えるメリットは確立されていますが、問題は知識だけの指導となっている事です。 家庭教師までは敷居が高いので。と似たようなイメージで個別の塾を選択される傾向もあるようですが、 ここに個別塾の学習と家庭教師の学習の大きな違いが潜んいます。分かりますでしようか? 大きな違いは、家庭教師の場合には知識の教授と共に、 家庭教師が経験して来た「自分のための学習」や「学校の勉強のための学習」の方法や向き合い方、 対策などの知恵の教授があると言う所です。

勿論、自分で学習方法を確立した上で、個別指導で知識を学力へと育てる力のある子供もいますが、 選択には、保護者である皆さんが「学力」に関して一定の理解 をした上で、非常に面倒な話をしますが、何を学べるか、何を学ばせるために選択するかの意識が求められると思います。

『進学校上位校専門』塾

「クラスで頭がいい。」「勉強は出来る方」の子供達の親御さんで、 難しい問題に多く取り組む事で進学校の上位へ子供さんを通わせたいと、 比較的勉強に積極的な親御さんが選択するのがこのタイプの塾です。 子供達も確かに優秀な印象を受けますし、勉強する事を苦にしていない印象も受けます。 難易度の高い問題を多く経験させるための塾ですから、当然、専用のテキストで学習します。 私は、このタイプの塾の存在意義はある。と思っています。 しかし、このタイプの塾へ通う場合の子供達を見ると、小学校高学年位から、学力を付ける方法が解き 込みと言う問題集をこなす勉強経験に限定されてしまい、本当に勉強好きな子供でないと、 塾で問題の処理を頭に入れる経験ばかりが蓄積され、自分の勉強時間は 塾の勉強で疲れるために、自分の頭で悩み楽しみ難しい問題に挑むような貴重な学習時間と学習感覚が育たない所に問題が潜むように見えます。

こうした塾へ通い高い偏差値の進学校上位校へ進んでから頭はとてもいいのに大学進学の勉強で対応出来ずに、 志望学のレベルを下げるしかない子供と、同じ塾で学びながら、 東大や京大レベルの学力に育つ子供の違いは、家庭教師の仕事を私がしなければ恐らく分からなかった事です。 詳しく話すと何時間にも渡るような教育論まで話さなくてはなりませんが、 結論から申し上げると、子供時代にはさほど変わらない優秀な頭脳も、その学び方の 経験の仕方と、学力への意識によって、頭脳の育ち方が大きく変わり、得る力が大きく異なるものだ。と今認識しています。

こうした『進学校上位校専門』塾へ通わせ始める場合に、一般に小学校高学年から中学の早い時点で通わせますから、 子供の成長過程で頭の回路が正しく育ち、その後の学習と人生に役立つ力を獲得するためにも、 塾の学習に頼り得点を上げるのではなく、自学を中心にする事を間違えず、 その上で、こうした塾の難しい内容をこなし経験して行く意識を持って欲しいと思います。 その意識の基で高い偏差値の高校へ入学するのであれば、こうした『進学校上位校専門』塾を利用する事は有効な手段だと思います。

『小学生向け』の塾

小学生の塾は、今は広告作戦能力のある大手の一人勝ち状態です。 個人の寺子屋的な塾はほぼ大手に加盟しなければ、知名度に負けるためほとんどなくなってます。 小学生の親御さんには、特にお読み頂いて良く考えて頂きたい事があります。 ここまで、様々なタイプの塾のお話をして来ましたが、 塾に関して注意すべきは「塾用のテキストの使用です。」小学生向けの塾もそれは変わりません。 私が思うのは、大人は(今、学校でも教科書を開く事が少なくなっていますが。) 一体、日本の優秀な頭脳達が集まって作った「教科書」をなんだと思っているのか? と言うような気持ちがあります。 解答を作る能力だけを子供達に求めていませんか?私は解答を作る前の取り組みと、 思考回路と、解答にたどり着く経験こそが、その後の子供たちの生きる力に繋が もので、小学生時代には是非とも経験して欲しいと思っています。

私は、子供達が勉強に面白さを見つけられない理由に、周りの大人たちの教育への理解が低い事に問題を思うのです。 (本当にすみません。正直な意見なのです。) 本格的な勉強へと進んで行く子供達は、少しづつ難しくなる勉強へ必死に対応しようとしています。 何点取れるかや、どれだけ出来ているかにばかり心を捉われずに、どんな勉強が子供達に必要なのかを、 皆さんにはじっくり考えて欲しいと思います。

長く家庭教師の仕事を通じて様々な子供達を見て参りましたが、 素直な時期に経験する学習方法が、その後の子供達の学習への取り組みに大きな影響を与えるように思っています。 ご相談があって、家庭教師として新潟や北陸の子供達に接してお会いする際、必ずご両親に申し上げる事があります。 「勉強は子育ての内の1つです。」「勉強のための子育てにならないように考えてあげて下さい。」とお話します。 子供達はこの国の宝物です。学習方法をお悩みになり、ご縁が会ってお話する機会を得れるご両親は、 こうした私のお話をこれから先の子育ての目安になる事を非常に 喜んで下さいますが、そうして、お会い出来ないご家庭にも、お話しした事を是非一度お考え下さり、 皆さんが子供達のために、必要な学び方へ導いて下さる事をお願いします。

『通信添削』

通信添削。毎月ほぼ決まった量の問題が送られて来て一定の量をこなさねば無駄になりますから、子供達は取り組みます。 月に数千円。私は『う~ん。』と言う印象です。 いろいろな活動をしていて塾に行く時間が取れないなどから始められるケースは多いようですね。 何かしないと置いて行かれるような感覚から始める事もありそうです。 単刀直入にお話します。届くのは教材です。テキストです。(それに添削が付くのですね。) 本屋さんへ出掛けて下さい。年間何万円が数千円で揃います。 内容も教科書準拠からテスト対策に使える物まで色々あります。 勿論、学校の教科書とワークやドリルもあります。身近にこれだけ勉強に使えるものがあって、 何故毎月消化出来ない(大抵の子供が全てをこなせません。)事をするのか、私にはうなるばかりの方法です。 (全てやり遂げていたと言う家庭教師もいましたが、そうであるなら、それは意味ある勉強になると思います。)

1つ。勉強を確実に自分の力に変える方法をお話します。 『1冊決めたテキストを隈無くやること』です。たくさん問題をしたいならその次にして下さい。 端折りますが、これは、それに取り組み、やった事で得る力(いくつもの力)を体感した人には分かるお話です。子供も一緒です。

最後に

家庭教師の業界も塾の業界も大人達の世界から見た場合にビジネスです。勿論、私もそうです。 当然お金を頂かなくては生きて行けません。ですから、お金を頂きサービス(学習指導)を行います。 それは全てがそう世の中なので当然なのですが、塾や家庭教師 また、通信添削などの学習。どこか根本的にずれている。そんな印象を教育業界に感じています。 勿論、私がお世話して来た全ての子供達に、私は私自身が納得の行くお金に見合うサービスをして来たなどと、言い切るつもりもありません。

新潟や北陸で家庭教師で子供達の勉強の手伝いをして来た長い年月の中で、私が未熟なためあのご家庭には納得してもらえなかった。 対応をもっと考えていたら。など、 申し訳なく思っているケースもあります。(勿論そうしたご家庭は早く退会され、頂いたお金は少額です。) ただ、どうも、こうして家庭教師の仕事をしながら他の家庭教師協会の事や、塾の事を理解し、 同時に子供達の事や、学びの意味などを考えて行くと、ビジネスのため だけに運営されている印象を受ける家庭教師協会や塾やその他の学習方法が溢れている印象があります。

私は個人的に「子供達は日本の宝」と言う思いがあります。同意される方も多くいらっしゃると思います。 子供達の未来を想う時、また、大げさのようですが日本の未来を想う時、大人達こそ、もっと教育に関して学ぶ必要があるように感じています。

この記事をお読み下さった皆様には、是非とも「何のために学ぶのか?」「学ぶ事で何を得る事が出来るのか?」 「学力とはどんな力なのか?」などをお考え下さり その上で、子供達の学習方法を選択下さればと思います。それは結果として健全な教育業界を育てる力になります。 見つけ出した答えに基づく大人のアドバイスは、子供達にとって必要な刺激となり、私たちの次の世代を担う大人へと子供たちを育て、 またその次の世代に繋がり、知識と学力が手渡しされて行きます。 大人達が子供達の教育に関して話し合う機会が少ない事に問題を感じます。 お読み下さった方は、ぜひ、身近な方と教育に関してお話をしてみて下さい。

追記

家庭教師のアズ新潟は現在、『家庭教師優良業者全国ネットワーク』と『家庭教師派遣業協同組合』と言う2つの団体に加盟して活動しながら、 新潟市から新潟県全域に家庭教師で学習のお手伝いを地域の子供達にしております。 新潟では20年以上の年月に渡って活動して来ましたので在籍した子供達の数は数え切れませんが、 お話しした2つの団体を通じて、今は教育の業界を引退された先輩から たくさん教えて頂きながら20年以上活動を続け、色々考え悩みながら自分の解答を見つけて今の自分があるように思います。

現在は『家庭教師派遣業協同組合』 で理事をさせて頂いておりますが、先輩方からも教えて頂いた教育の精神を受け継ぎ家庭教師協会と家庭教師派遣業協同組合の活動をしています。 何を申し上げたいかと申しますと、いつの世も、正しく懸命に生きた人の教えて下さる意見は人を育て、 次の世代へ引き継がれます。これをお読み下さる皆さんも また、子供さんの教育に熱心なご関心を持ち、仕事をし、子供を育て、立派に社会で生きて来ていらっしゃる方であるはずです。 塾や家庭教師の仕事をしている人が教育に詳しいとの先入観で選択を誤らないで欲しいと思います。

子育てをまだ経験していない講師の話、また、家庭教師の協会の営業の話、私には分かっていない事があり過ぎるように思います。 むしろ、様々な分野で懸命に生きていらっしゃる皆さんの方が、 社会で活かす事の出来る『学力』『学ぶ力』を正しく実感する事が出来るように思います。 その真正面から生きて来られた経験に照らし合わせる事で『学び』の本質が見えるはずです。 そして、自信を持って子供達に「勉強とは」「学ぶとは」をお話したり、学習方法を子供さんと相談して下さい。 きっとその考え方や皆さんが教えた事は、子供達の心の中でいつしか成長し、お父様お母様の心は次の世代に引き継がれて行くと思います。